ご挨拶
この度、眼内悪性リンパ腫の研究会を立ち上げる運びとなりました。
眼内悪性リンパ腫(眼内リンパ腫とも呼ばれる)は、眼内に発生した悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫は、我々の体を守る働きをする血液細胞の一つであるリンパ球が、腫瘍化して異常に増殖した状態を指します。それが眼内で起きると、硝子体(図1、眼内を満たすゼリー状の組織)が強く混濁したり、網膜(眼底にある光を感じる膜)に白い病変が出現したりします。眼内に炎症を起こす良性疾患であるぶどう膜炎と見た目では良く似ているため、しばしばぶどう膜炎と鑑別することが困難です。また、この病気は悪性細胞が脳へと転移(播種といいます)しやすく、命にかかわることも多いため、眼科疾患の中でも最も生命予後の悪い病気とされています。この病気は、全悪性リンパ腫の約1%程度で、かなり稀な病気ですが、近年患者数が増加しており、今後益々注意が必要な病気です。
本会は、眼内悪性リンパ腫の病態の解明や啓発、およびより良い診断法や治療法の開発を目指して活動してまいります。
2019年1月
眼内悪性リンパ腫研究会 代表世話人
蕪城俊克 (東京大学医学部附属病院眼科 准教授)